【個展】東京

東京で個展を開催します。

佐竹龍蔵 個展「東京」
会期|2025年3月22日(土)-4月6日(日)
時間|12:00-19:00
休廊|月・火・水曜日
会場|Gallery Yukihira
東京都国分寺市日吉町2-15-23-101
http://www.yukihira.net/exhibitions/exhibit27

東京の地図を眺めていると不思議な形の川があることに気がついた。旧中川という川で落書きみたいなふにゃふにゃした形が目を引く。はじめは荒川から水を引いている水路だと思ったが、よく見ると荒川を挟んだ対岸には中川が流れている。旧中川はその名前と形から、荒川によって分断された中川の切れ端部分だということがわかる。

調べてみると、荒川の岩渕から下流の部分は荒川放水路といって、明治44年から昭和5年にわたって整備された人工の川だということがわかった。放水路がつくられる前の荒川は現在の隅田川が本流だったので中川と交わることはなかったが、荒川放水路の完成によって中川が分断され、昭和40年には荒川放水路が荒川の本流と定められた。まさに地図を書き換えるような大規模な工事が長い年月をかけて行われ、その痕跡が旧中川という不思議な形をした川の正体だった。

実際に旧中川を訪れてみると綺麗に整備された穏やかな水辺で、たくさんの水鳥がいて散歩をしている人たちの姿があった。東京の市街地を流れる川は味気ないと思い込んでいたが、歴史を知ると人と川との関わりが見えてくる。夕闇に包まれる旧中川の河川敷を歩きながら、東京の水辺を描きたいと思った。

《ドローイング(旧中川、中川、荒川、隅田川)》 2025 紙、色鉛筆 272×196mm